DX成功のカギは「人」にあり

〜チェンジマネジメントの重要性〜

近年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉は多くの企業で日常的に使われるようになりました。
最新システムの導入やAI活用、業務プロセスのデジタル化が進む一方で、現場からは「導入したシステムが定着しない」「活用が進まない」といった声も少なくありません。

DXの成果を左右するのは、技術そのものだけではなく、それを使いこなし変化を受け入れる人の力です。すなわち「変化を推進し、定着させる力」が鍵となります。

日本企業が直面するDX人材の課題


IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」によると、85%以上の企業がDX推進人材の“量”が足りないと答えています。さらに“質”についても、十分だと言える企業はわずか3.8%にとどまっています。中でも不足が目立つのが「ビジネスアーキテクト」です。「ビジネスアーキテクト」とは、DXの初期構想から導入・検証までを担う重要な役割ですが、日本ではこのポジションの不足が突出しています。そして驚くべきことに、人材不足を感じながらも、何の育成施策も行っていない企業が3割以上もあります。

なお、別の調査『DXサーベイ2025-2027』(2024年10月発行の調査レポート)においても、「DX人材の育成/リスキリング」(61.7%)が見直し対象・強化策として最も多く挙げられました。

日本企業のDXにおける最大の壁は、DXを推進する「人」と言えるのではないでしょうか。

あらゆるDX人材に求められる「変革マネジメント」


経済産業省が定める「DX推進スキル標準」では、主要な5つの人材類型が定義されています。

  • ビジネスアーキテクト
  • デザイナー
  • データサイエンティスト
  • ソフトウェアエンジニア
  • サイバーセキュリティ
    ※それぞれの類型の定義や詳細は、「デジタルスキル標準」(経済産業省)を参照ください。

注目すべきは、これらすべての人材に共通して必要なスキルとして「変革マネジメント(チェンジマネジメント)」が明記されている点です。技術面を担う立場であっても、事業部門をリードする立場であっても、変革を計画的に進め、関係者の理解と行動変容を促す知識や能力が必要です。

特に、DXの目的や価値を正しく理解し、現場と経営をつなぎ、部門間の合意形成や抵抗を低減させ、変革を定着させるための活動を継続する…これらを実現するには、DXに携わる主要メンバーがチェンジマネジメントの視点を持つことが重要になります。

チェンジマネジメントは「誰でもできる」×「戦略的に使う」


チェンジマネジメントは、何も大掛かりな変革だけに必要なものではありません。
社内ツールの切り替えや業務フローの見直しといった“小さなDX”においても、現場の理解と納得、スムーズな定着がなければ成果は得られません。チェンジマネジメントは日常業務の延長でも取り入れることのできる考え方・手法であり、現場のマネージャーやリーダーが意識して実践するだけでも効果は現れます。

ただし、以下のような局面では、体系的な方法論や専門家の支援が成功確率を大きく高めます。

  • 組織全体に影響するDXプロジェクト
  • 経営層と現場の間で利害が衝突しているケース
  • 部門横断の大規模システム導入
  • 社員の反発や不安が顕著な状況

こうした複雑な変革では、外部の専門家が中立的立場で調整・伴走することが、定着までのスピードと確実性を高めます。また、体系的な方法論と経験が必要です。

学びから始める、DX成功の第一歩


弊社では、DX推進に不可欠なチェンジマネジメントの方法論を体系的に学べる研修サービスを提供しています。本研修はIPA(情報処理推進機構)が運営する「マナビ DX」に掲載されています。(もし、ご興味がありましたら、「チェンジマネジメント」というワードで検索してみてください。アタウェイの提供するチェンジマネジメント資格認定プログラムが唯一ヒットします。)

DXの成功は、偶然の産物ではありません。
変革を支える力を計画的に身につけることが、その第一歩になると思います。
まずは弊社の無料コラムなどで、そのエッセンスに触れていただければ幸いです。

【無料】チェンジマネジメントはなぜ必要なのか

会社や組織では変革が起きています。パフォーマンスを改善し、利益を拡大し、競争上の優位性を強化するための新しいイニシアティブやプロジェクトの立ち上げは、毎日のように行われているでしょう。そのような環境下で、なぜ、一人ひとりの個人が変革を上手く受け入れることを可能とするチェンジマネジメントが必要なのでしょうか。

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著者:根本 佳代子 (ねもと・かよこ)

日本アタウェイ グローバルコンサルティング事業部のマネージャーであり、ERP導入コンサルタントとして国内外の大規模プロジェクトに従事し、システム導入やIT部門支援などの複数のプロジェクトのPMやPMOを担当。プロジェクトマネジメントの経験からチェンジマネジメントや「人」の支援の重要性を強く感じ、2018年に日本アタウェイで米プロサイとのパートナーシップ構築に関わる。現在、国内外のクライアントの変革施策においてチェンジマネージャーとして多くの変革施策を成功に導いている。