プロジェクトや変革施策の実施中にこれらの影響を管理するために、チェンジマネジメントの専門知識を習得したプラクティショナーは、チェンジマネジメントの知識、プロセス、ツールといった体系的なアプローチを活用します。

組織は、ビジネスチャンスを活かしたり、問題を解決したり、組織のパフォーマンスを向上させたりするために、様々な施策を実施します。施策を実施するだけでいくつかの望ましい成果を得ることができますが、大部分の成果は人々が仕事のやり方を変えることにかかっています。ProsciのチェンジマネジメントROIモデルでは、これをプロジェクトの「受け入れ貢献度」と呼び、プロジェクトの利益の何パーセントが、社員が変革を受け入れ活用することに依存しているかの割合を示しています。一般的に、重要なプロジェクトにおいては、この数字は80%から100%になります。

チェンジマネジメントを適用することで、人々が仕事のやり方をきちんと変えられるように準備し、環境を整備し、そして個人をサポートします。これにより、プロジェクトの投資利益率（ROI）のうち、人々に依存する部分を達成できるようになります。

技術的なソリューションばかりに焦点を当て、変革の人的側面を無視すると、プロジェクトは“RE”コスト、たとえば再設計（Redesign）、やり直し（Rework）、見直し（Revisit）、手戻り（Redo）、再訓練（Retrain）、スコープ変更（Rescope）、または撤退（Retreat）などのコストを抱えるリスクにさらされます。また、変革の人的側面に対する計画と対応を怠ると、欠勤や離職の増加、生産性の低下、士気の低下、従業員の意欲喪失が生じます。そして、顧客もその影響を被ります。チェンジマネジメントは、これらの重要なリスクを軽減するのに役立ちます。

プロジェクトマネジメントは、技術的なソリューション(例: ERPシステム、新しい人事制度)を、設計し、開発し、提供することを目的としています。一方で、チェンジマネジメントは、その技術的なソリューションの導入によって目指す価値や成果を実現するために、影響を受ける人々に適切に関与してもらい、必要なスキルや能力を身につけてもらい、新しいソリューションを使用してもらうことを目的としています。プロジェクトマネジメントとチェンジマネジメントの両方が揃うことで、目指す価値や成果を実現することができます。

チェンジマネジメントは、人的側面の観点で、変革を個人が上手く受け入れられるよう準備し、環境を整備し、そして個人をサポートし続けるための体系的なアプローチです。そのアプローチには、影響分析やリスク分析、チェンジマネジメント戦略の作成、人々が変革を乗り越えるための施策の立案、施策の実行とモニタリング、最終的な変革の成果の持続などが含まれます。この中には研修計画やコミュニケーション計画はもちろん含まれますが、チェンジマネジメントとは、一人ひとりの変化を支援する、より広範なアプローチです。

Prosciのチェンジマネジメントに関するベストプラクティス調査では、変革を成功させるためには「スポンサー」や「管理職マネージャー」が重要な役割を果たすことが明確になっています。チェンジマネジメントにおいて、中心的な役割を果たすのはチェンジプラクティショナーになりますが、それに加えて、スポンサー、管理職マネージャー、そしてプロジェクトマネージャーといった役割が連携してチェンジマネジメントを推進することで、変革を成功に導くことができます。

世の中にある様々なチェンジマネジメント方法論において、変革における人的な側面に着目しているという点は共通だと思います。ただし、Prosciのチェンジマネジメント方法論は、他の方法論には無い次の特徴を備えています。

• 25年以上の調査研究に基づいている。
• ただタスクを羅列するのではなく、「人はどのように変革を乗り越えるのか」という観点を中心に方法論が構成されている。
• 方法論だけでなく、関連するモデル、ツール、オンライン環境などが整備されており、初めてチェンジマネジメントに触れる人でも使いやすい。
• 包括的なトレーニングが用意されている。
• 認定資格があり、世界最大のチェンジマネジメントコミュニティを有している。