変革を推進するうえで効果的な3つの施策 (プロジェクト 準備編)

2022年8月に日本アタウェイ 主催の無料セミナー「これがチェンジマネジメントのリアルな姿!日本と海外におけるチェンジマネジメント事例紹介」を実施しました。様々な業種で変革を推進している 70名以上の方に参加いただき、大変ご好評をいただきました。

そこで、このセミナーでご説明した内容をさらにできるだけ多くの方にお届けしたく、「プロジェクト準備」「立ち上げ」「実行」「稼働後」の4つのフェーズに分けて、全4回のコラム としてご紹介していきます。

第1回は「プロジェクト準備」編 となります。プロジェクト開始前の準備段階では 、プロジェクトとしての体制がまだ構築されていない状況となります。また、チェンジマネジメントの観点で言えば、チェンジマネジメントの必要性や重要性が一部のプロジェクト立ち上げメンバーの中で認知されてはいるものの、決裁権を持つエグゼクティブや、組織においてキーとなるリーダーの理解度や協力度が低く、そのために予算獲得に至っていないという状態が発生することがあります。

組織やプロジェクトにおいて、チェンジマネジメントの必要性や重要性が語られる背景 には様々なものがあります。例えば、グローバル企業のプロジェクトにおいてはチェンジマネジメント機能を持つことが一般的 になりつつあり、グローバルのプロジェクト方針に合わせて、日本サイドにチェンジマネジメント機能を設置することを必須とするような場合もあります。他に、チェンジマネジメントの必要性を感じている一部のエグゼクティブやリーダーがチェンジマネジメントを取り入れるべきだと唱え、それによって徐々に組織内での認知が高まり、チェンジマネジメントが開始される場合もあります。この他にも、必要性が高まる背景には様々なものがありますが、確実に言えることは、「プロジェクト開始前」の段階においては、予算や決定権を持つ上層メンバー全員がチェンジマネジメントの導入を完全に同意しているケースは稀である、ということです。むしろ、チェンジマネジメントという言葉を聞いたことが無い人が大半を占める、あるいは良く分からないという声のほうが多いと言っても過言ではないでしょう。

では、予算や権限を持つ上層メンバーにチェンジマネジメントの必要性の理解を促し、予算を獲得し、チェンジマネジメントを開始するためにはどうすればよいでしょうか。今回は、こういったプロジェクト開始前の状況を乗り越えるための効果的な施策例を3つご紹介します。

1. エグゼクティブやリーダーと変革の目的と重要性、「成功の姿」の議論を重ね、言語化することで関係者において共通となる明確な方向性を定め、その内容にリーダーとしてコミットしてもらう


変革の目的・背景や重要性などの理解醸成や共通認識化は限られた上層メンバーの中で行われていても、エグゼクティブ全員とまではいかないことは多々あります。また、変革の目的は掲げられていても、全員が同じ理解になっているとは限りません。そのため、エグゼクティブやリーダー、コアメンバーとともに変革の目的、重要性、成功の姿などを討議する場を設け、言語化することが重要です。また、それらのプロセスにおいて、「人」にフォーカスしたケアの重要性(すなわち、チェンジマネジメントの重要性)やリーダーとして求められる役割を認識し、行動に繋げてもらえるようにインプットを継続します。変革を成功に導くためには、「人」へのサポートが必要かつ重要であることを認識してもらい、予算やリソースを投入することの必要性を説明します。こういった一連のアクションを通し、上層メンバー自身に自らの役割にコミットしてもらうことに加え、成功確率を高めるために社員へのケアなど「人」の要素に目を向けてもらうきっかけを作ることが効果的です。

2. エグゼクティブやリーダーにチェンジマネジメントのトレーニングを受講してもらう


変革を成功に導くためには、変革に携わる「人」や、変革による影響を受ける「人」にフォーカスした支援やケアが重要となります。予算や権限を持つ方やプロジェクトのキーメンバーにチェンジマネジメントの理解を促すためには、トレーニングの機会を提供することは1つの有効な手立てと言えます。チェンジマネジメントには様々な方法論やアプローチがあるため、確立された方法論に関するトレーニングをプロフェッショナルから受けることは共通理解を生み出すことに加え、予算や権限を持つ方の意思決定に寄与します。また、チェンジマネジメントの概念や主要なフレームワークを関係者が一緒に受講することは、共通言語を作り出すことができ、以降のプロジェクト進行が格段にスムーズになるという利点もあります。

3. エグゼクティブやリーダーに継続的な説明や報告を行う


上記2.にて、チェンジマネジメントのトレーニングを挙げましたが、トレーニングを受講することに加え、継続的に接点を持ち説明を行うことも効果的です。日本アタウェイでは、Prosciの方法論に基づく、実践しやすく使いやすいツールやフレームワークを習得いただけるトレーニングを提供しており、受講者の皆さまにはそれらを利用して意思決定者に説明や報告を行うことをおすすめしています。Prosciのツールを使うことによって客観的な状況評価を行えるとともに、定期的にスコアや結果を可視化し報告することにより、エグゼクティブやリーダーの意思決定をスムーズに促すことが出来るようになります。

ここまで読んでくださった方の中には、変革の初期段階に置かれている方もいらっしゃると思いますので、明日からの取組みにおいてご参考になれば幸いです。

日本アタウェイ株式会社では、チェンジマネジメントのトレーニングや、チェンジマネジメント立ち上げ支援サービスを含むチェンジマネジメントコンサルティングサービスをご提供しています。ぜひお気軽にお問合せください。


著者:根本 佳代子 (ねもと・かよこ)日本アタウェイ グローバルコンサルティング事業部 マネージャーERP導入コンサルタントとして国内外の大規模プロジェクトに従事し、システム導入やIT部門支援などの複数のプロジェクトのPMやPMOを担当。プロジェクトマネジメントの経験からチェンジマネジメントや「人」の支援の重要性を強く感じ、2018年に日本アタウェイで米プロサイとのパートナーシップ構築に関わる。現在、国内外のクライアントの変革施策においてチェンジマネージャーとして多くの変革施策を成功に導いている。