変革抵抗を感じる員の3つのタイプそれぞれの参加意欲を高めるには 3 Types of Change-Resistant Employees and How to Engage them

by Tim Creasey

変革を迫られた時、社員たちの反応は3に分かれます。1のグループは、早い段階で進んで変化を受け入れようとする人たちで、“アーリーアダプター(早期適用者)などと呼ばれます2つめは変革に不安とためらいを感じている人たちのグループ3つめは頑な態度をとり、変わろうとしない人たちのグループです。  組織によってまたのような変革を行うかによって、それぞれのグループに属する社員の比率は異なります。ほとんど影響力のないちょっとした変革であれば、90パーセントの社員が第1グループ、残りの10パーセントが第2グループに属し、第3グループに該当する人はひとりもいないでしょう。個々の社員に大きな影響を及ぼすような複雑な変革の場合、比率大きく変わる可能性があります。第1グループと第3グループはごく少数で、大部分の人が第2グループになるかもしれません。それぞれのグループに該当する社員の比率がどうあれ、変革への抵抗感を和らげるためのアプローチは同じです。 

1グループ:アーリーアダプター(早期適用者) 


1グループの社員は、変化に対する抵抗感最も少なく、いち早く変革に取り組もうとする人たちです早い時点でこのタイプの社員を味方につけて、目に見えるかたちでプロジェクトに参加してもらい、変革を推し進めることが重要です。このグループ社員は、強力かつ積極的な変革提唱者となり得る人々であり、ふだんの会話を通して他の社員たちに影響を及ぼす力を持っています。2グループの社員リーチする手段として、こうした目立たないネットワーク活用が鍵となります。第1グループは、あなたの味方になってくれる人たちのグループです。 

2グループ:不安とためらいを感じているたち 


2グループの社員たちには最も多くの時間と注意を要しますProsciが提唱する手法は、主にこの人たちに照準を合わせたものです。彼らの場合、変革を支持するかしないかは、その変革がいかに効率的・効果的に進められるかによって決まります変革の実現には直属の上位監督やコーチ陣が重要な役割を果たします。このグループへの対策として、チェンジマネジメントプログラム受講者に提供されれるeツールキットの「抵抗を克服するための10の戦術」が役に立つかもしれません。 

3グループ:最も強く抵抗を感じているたち 


3グループ社員は、もともと変化を受け入れにくく、組織の変革を支持しようとしない人たちです。彼らは往々にして、他部署への異動、転職、仕事から逃避(退職等)などの撤退戦略に走ろうとします 3グループへの対策講じるには、チェンジマネジメントのエネルギーをどこに集中させるかが重要であることを忘れないでくださいともすると少数派である3グループの人たちエネルギーを傾けがちですが、そうではなく、必ず第1、第2グループに属する多数派の人たちに、チェンジマネジメントのエネルギーを集中させてください 

抵抗感の根本的な原因を突き止めるには 


変革に抵抗を感じるの自然で正常な反応です。変革をどの程度受け入れられるか、その限界は人それぞれです。しかし、最前線で働く社員たちが変化に抵抗感を抱く第一の理由は、変革に対する根本的なビジネスニーズを認識できていないことなのです。 こうした場合に有益なのは、後述の「抵抗感を評価するエクササイズ」という評価法を用いて抵抗感の根本にある原因を突き止めることです。必要な情報を提供することによって、より多くの社員に変革に対するビジネスニーズを認識してもらうことが、抵抗感を上手に和らげるための、最も重要で前向きな第一歩です。この評価法を用いることによって、Prosci ADKARモデルのAwareness(認知)、Desire(欲求)、Knowledge(知識)、Ability(能力)、Reinforcement(定着)において、社員たちのバリアポイント、つまり抵抗の根本原因がどこにあるかを判断できるようになるでしょう。この評価法は、社員と向き合い、積極的に話を聞こうとする人がいることで最大の効果を発揮します。多くの場合、マネジャーやビジネスの現場にいる上位監督者が、チェンジマネジメントにおける重要な役割を担うことになります。彼らキープレイヤーであり、この評価法を用いて社員を評価することができる人たちです。 

抵抗感を評価するエクササイズ 


注:この評価ワークシートはADKARモデルをもとに作成されています。抵抗を示す社員またはマネジャーと、直接話をするか、あるいは回答を記入してもらうかたちでエクササイズを行ってください。このエクササイズは、可能であれば当該社員の直属の上位監督者の管理下で行ってください。

1.なぜ変革が起きる思いますか?ビジネス、顧客、競合他社のどのような問題が変革の必要性を生むのか、あなたの考えを述べてください。  2.あなたはこの変革を支持しますか?あなたが変革を望むか否かに影響する要因は何ですか?あなたは変革を積極的に受け入れますか?変革に対して中立を守りますか?それとも変革に反対しますか?  3.必要なトレーニングを受けていますか?変革を支持するために必要だと思うスキルや知識を具体的に挙げてください。必要なスキルや知識を習得するためのトレーニングを、現在どの程度受けることができていますか。1から5の数字で表すとどのくらいでしょうか。  4.上記で挙げたスキルや知識を身につけるのに、何か困っていることはありますか?あるとすれば、それはどんな分野においてですか?求められるスキルや知識から考えて、変革を実行するためのご自身の能力どの程度と評価しますか?  5.必要なサポートを受けていますか?変革の推進や定着化に向けた方策やサポートは十分ですか?さらなるサポートや強化策を提供すべき分野があれば教えてください。 

この変革はあなたにとってどのような意味を持つのか 


プロジェクトチームあるいはチェンジマネジメントチームが、全員の抵抗感を払拭することは不可能です。しかし、積極的に相手に働きかけ、抵抗を最小限に抑えることは可能です。抵抗を感じている社員のバリアポイントを突き止めたら、その分野に的を絞って行動を起こすことができるはずです。組織の中で抵抗を示す社員が、どのタイプに当たるのかを見極めることで、チェンジマネジメントのエネルギーを正しく集中させ、プロジェクトを最大の成功へと導くことができるでしょう。 レジスタンス(抵抗)マネジメントを含む、チェンジマネジメントのテンプレート一式、評価方法、各種ツールをご希望の方は、チェンジマネジメント資格認定プログラムにご参加ください。


著者:ティム・クリーシー(Tim Creasey)プロサイ(Prosci)のチーフイノベーションオフィサー(CIO)。チェンジマネジメントのオピニオンリーダーとして、世界的な評価を受けている。変革の人的側面を管理し、組織としての結果を生み出すことに関して、世界最大規模の知識体系基盤を形成している。