変革に対して社員が抱く10の質問10 Questions Employees will have about any Change
by Tim Creasey
プロジェクトを成功させるには、変革を通して第一線の社員を管理しサポートすることが不可欠です。そのために、マネージャーや上司に正しいツールを提供することも重要です。トレーニングプランやコミュニケーションプランがあれば、人々を正しい方向に導くことができ、社員が度々寄せるだろう質問に備えておけば、マネージャーは安心感を持つことができるでしょう。 以下は、変革に関して社員から最もよく寄せられる10つの質問です。(「 Employee’s Survival Guide to change」から引用)
社員から最もよく寄せられる10つの質問とその回答
上司と部下が顔を合わせてQ&Aを行う際の、基本的な土台を提供しましょう。ここに記載したどの回答についても言えることですが、上司は変化に伴う自社の具体的な情報やデータを組み込みながら回答することで、つまりあなたの会社の状況に合わせて回答をカスタマイズすることで、さらに有益で実用的な回答となります。 この質問と回答はすべて、社員に認知(Awareness)を持たせるための活動の一部となります。認知(Awareness)の欠如は、社員による変革に抵抗する1番の原因であることが多いのですが、最も直しやすい抵抗ポイントでもあります。以下に示すようなよくある質問に答えれば、社員の懸念を解く事ができます:
ひとつの質問のみでは社員が求めている答えを提供できない可能性もありますし、皆が同じ質問をするわけでもないですが、以下の質問と回答を用いれば、社員に認識(Awareness)を持たせるための活動に着手することができるでしょう。
1. なぜ、いま変革が起きているのか?
変革は突然起こり、それが直接あなたに向けられているように感じるかもしれません。しかし実際には、ほとんどの変革は、社内で起こる数か月も数年も前から社外で始まっています。調査結果によれば、対外的な市場動向の変化に呼応して、主要なビジネス上の変革がもたらされているのです。対外的な市場動向の変化は、次のような結果をもたらすことがあります。
対外的要因が会社のビジネスに影響を及ぼすまでには時間を要します。すでにあなたの会社の収益が影響を受けているなら、直ちに変革が必要です。場合によっては、すでに手遅れな時さえあります。社内の変革をもっと早く始めなくてはならなかったのです。
2. 変革をしないと、どのようなリスクがあるのか?
対外市場の変化が社内でも明確になると、マネージャーは突如として変革を行わないことのリスクに気が付きます。 企業にとって、変革をしないことには次のような意味がありえます。
社員にとって、変革をしないことには次のような意味がありえます。
3. 何を急いでいるのか?
通常、何が起こっているのかを社員が知るのは、事実が発生した後です。組織は必ずしも、社員に財務情報を伝えたり、業績低迷について話したりするとは限りません。このため、迅速な変革が必要なとき、社員にとっては不意打ちになる場合があります。組織は可能な限り迅速に変革を実施しようと試みていますが、その一方で、社員は一歩遅れを取りつつ、変革が必要な理由や自分に及ぶ影響を理解しようと努めています。会社にとっては残念なことなのですが、ほとんどの社員は変革を急いでいません。実際には、多くの社員が変革の必要性を認識していないこともあります。ビジネス上の理由を理解していない社員に変革を強制することは、まさに糠に釘となります。こうなると、影響を与えることはできるかもしれないが、本来的な(変革への)移行を生じさせることはできません。強制力がなくなれば、すべてが元のやり方に戻ってしまいます。
4. 長期間待っていれば、変革はどこかへ消え去るのか?
組織の経営状態の財務的改善が急務の場合、あなたがいてもいなくても変革は起こると考えてよいでしょう。通常、待っていても結果は変わりません。多くの場合、たとえ社員の抵抗に直面しても、特に財務的成功が危険にさらされていれば、その会社は変革します。これは、その変革があなたにとって悪いことをもたらすという意味ではありません。多くの変革は、最終的には社員にとって利益となる結果をもたらします。たとえば、より優れたツールや、改善された業務プロセス、より安定した雇用、そしてキャリアを前進させる新たな機会などの利点が得られるかもしれません。
5. 私にとって変革はどのような意味があるのか?
ビジネスの変革には次のようなものがあり得ます。
この変革は自分にどのような影響を及ぼすのか。それは、自分の現在の仕事や、変革の程度や、自分が変革に応じるためどのような選択をするかによります。小規模な変革であれば、何の影響も受けないかもしれません。大規模な変革であれば、仕事のやり方が新しくなったり、ツールが新しくなったり、上司が変わったりするかもしれません。ビジネスの抜本的な変革であれば、一部の社員が別の部署や、場合によっては転職などの大きな影響を受けるかもしれません。変革が実施されるときに受ける影響は、ひとりひとり違います。結局のところ、自分がその変革にどう対応するかは、変革からどれだけのインパクトを受けるかにおいて、大きな役割を果たします。変革によりあなたが実際に受ける影響は、あなたが変革にどう対応するかに直接関係している:という点は良い知らせです。つまり、あなたは変革に自分がどう対応するか決めるのは自分なのです。さらによいことには、組織があなたや社内でのあなたの将来の役割をどう見るかは、あなたの変革に対する対応や選択に応じて異なり得ます。
6. 私にはどのような選択肢があるのか?
あなたが変革に対応する方法の選択肢は、組織が変革プロセスを進めるにつれて変わっていきます。以下それぞれのタイミングで起きる変革について考えてみましょう。
あなたの選択やその結果は、経験している変革のフェーズによって違ってきます。場合によっては、あなたの選択がネガティブな結果を招くこともあるかもしれません。それは自分にとっても組織にとっても悪い選択かもしれません。他の選択肢の方が、あなたにベネフィットをもたらし、変わりつつある組織のなかでのあなたの能力を高めることにつながるかもしれません。
7. 変革を支持すると、私にどのような利点があるのか?
変革を支持することには次のような利点があります(特に、組織の成功に不可欠な変革の場合)。
8. 変革に反対すると、私はどうなるのか?
不適切な問題が解決されようとしていると感じたら、どうすればよいでしょうか。落ち着いて、先入観を抱かないことです。その変革のビジネス上の理由を自分が理解しているかを確認する必要があります。でも、具体的な反対意見や懸念を声に出すことを恐れてはいけません。その意見が正当なものであれば、注目が集まり、解決される可能性も高まります。変革の中の具体的な要素に対して強い反対意見を抱いているならば、適切な人物に、適切な方法で知らせることが肝要です。
9. 以前に変革を試みて失敗している場合は、どうなるのか?
会社が以前、変革プロジェクトに失敗したことがあるという場合もあるかもしれません。社員が失敗に慣れてしまっていると、その過去を消すことには困難を伴うでしょう。会社が成功するためには、全員が過去を「過去のこと」として受け入れ、将来のことに集中する備えをしなくてはなりません。
10. 給与は同じまま、いま以上のことを強制されたら、私はどうなるのか?
組織が変革を進めているなら、それは通常、新たなプロセスやシステム、スキルが求められることを意味します。変化した環境においては、新たなプロセスの学習や新たなスキルの習得も役割に含まれる場合があります。実際に、あなたの職責の一部が変わることもあります。 物事のやり方が古ければ、その仕事は組織にとってその価値は低下するので、実際に報酬が下がることもあります。しかし、新たなサービスや商品の価値が増し、新たな仕事に対する報酬が上がることもあるでしょう。これも変革の一部です。
上記が投げ掛けられる質問のすべてではありません。「どうなるのか」のシナリオが、ひとつのブログでは扱いきれないほど多数存在することは確実です。必ず成功させなくてはならないプロジェクトに備える場合や、組織が変革能力の開発を継続的に試みている場合は、チェンジマネジメントの専門家である私たちのトレーニングとアドバイザリーサービスを是非ご検討ください。
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組織の変革プロジェクトが技術要件とマイルストーンを満たしていたとしても、目標と成果を実現できない可能性があります。これは何故でしょうか? 答えはチェンジマネジメントです。チェンジマネジメントを採用している組織は、予定どおりまたは予定より早く、予算内で、プロジェクトの目標を達成する可能性が高くなります。これは、データからも明確に示されています。
著者:ティム・クリーシー(Tim Creasey)プロサイ(Prosci)のチーフイノベーションオフィサー(CIO)。チェンジマネジメントのオピニオンリーダーとして、世界的な評価を受けている。変革の人的側面を管理し、組織としての結果を生み出すことに関して、世界最大規模の知識体系基盤を形成している。