チェンジマネジメントの5つの障壁を回避するAvoid These 5 Change Management Obstacles
by Prosci
変革を成功に導くことは容易なことではありませんが、Prosciのチェンジマネジメント・ベストプラクティス・ベンチマーク調査の活用により、他の組織から有益な学びを得ることができます。調査の参加者は、変革を導入する際に何が有効で、何が有効でないかについて、貴重な識見とデータを提供してくれました。世界中のチェンジマネジメントのプロフェッショナルから得た識見により、成功を阻む一般的な障壁を予測し、回避することができます。
チェンジマネジメントの障壁
Prosciの調査参加者は、上位5つの障壁を明らかにしました:
- 経営陣のサポートと積極的なスポンサーシップの欠如
- 効果的なコミュニケーションの欠如から生まれたズレ
- 変革への賛同と解決策のサポートの不足がもたらした抵抗
- チェンジマネジメントに関する知識とリソースの不足
- 変革に抵抗する文化と心構え
1. 経営陣のサポートと積極的なスポンサーシップの欠如
Prosci によるチェンジマネジメント・ベストプラクティス調査の参加者は、多くの経営幹部が、チェンジマネジメントにおける自分の役割、必要なリソース、変革の目的を理解していないと指摘しています。このような行き違いは、組織内の一貫性のないコミュニケーション、認知度の欠如、情報の透明性の低下につながっています。経営陣のスポンサーシップに起因するさらなる障壁には、本稼動後のサポートの減少、変革全般に対する賛同の欠如、低い関与度などがあります。
これは、参加者から報告された最大の障壁です。これまでの研究と同様、スポンサーシップがチェンジマネジメントに与える影響の大きさを明示しています。効果的なスポンサーシップが組織を動員し活性化させるのと同じように、スポンサーシップが不十分だと、変革の進捗が阻害され遅延する可能性があります。社員は、スポンサーが不在である、あるいは積極的でないことを、その取り組みがいかに重要であるか、あるいは重要でないかの表れとして解釈します。
また、第12回目の調査報告のデータを分析すると、スポンサーシップの効果とプロジェクト目標の達成可能性には、直接的な相関関係があることが明らかになっています。
2. 効果的なコミュニケーションの欠如から生まれたズレ
効果的なコミュニケーション、つまり、透明性があり、Awareness(認知)を高め、組織の目標に沿ったコミュニケーションというものが欠けていると、変革の影響を受けるグループにとって、混乱とズレが発生します。その結果、参加者は、役割を明確にし、期待を伝え、賛同を促すために、より多くの時間とリソースを費やすことになります。
変革における効果的なコミュニケーションは、好ましい送り手を使うことから始まります。社員は、組織トップのリーダーから、変革に関するビジネスレベルのメッセージを受け取ることを好みます。変革に関する個人的なメッセージ、例えば、「私にとって何の利益があるのか(WIIFM)?」に対する答えについては、社員は直属の上司からのコミュニケーションを望みます。
3. 変革への賛同と解決策のサポートの不足がもたらした抵抗
変革に抵抗する可能性が最も高いのは、変革を理解できず、”未知”を恐れているために、新しいプロセスへの関与が不十分で、受け入れようとしない社員です。そのような社員は、現在の業務や仕組みに満足しており、変革を受け入れようという全体的な意欲に欠けています。
抵抗は、影響を受ける人やグループが変革のビジネス上の理由を理解していないことと強く関連しています。変革への賛同を得ることは、チェンジマネジメントを成功させるための重要なステップであり、Prosciの方法論の創設当初から一つの柱になっています。賛同を得るには、変革のビジネス上の理由と、「私にとって何の利益があるのか(WIIFM)?」に答えることから始まります。
4. チェンジマネジメントに関する知識とリソースの不足
組織のあらゆるレベルにわたって、参加者は、チェンジマネジメントとは何か、チェンジマネジメントが組織にもたらす価値とは何かについて、理解が不足していると報告しました。そのため、成功に必要なリソースや予算の獲得が難しくなっています。このような場合、リーダー層や最前線のマネジャー層は、チェンジマネジメントの価値を理解していないために、チェンジマネジメントプロジェクトに予算や人員を割り当てることに消極的になります。
チェンジマネジメントは、一人の空き時間や”机上の空論”で達成できる活動ではありません。実際、Prosciの調査によると、チェンジマネジメント活動のための効果的なリソース確保とプロジェクト目標の達成との間には強い相関関係があることが実証されています。受け入れと活用を成功させ、変革のベネフィットを実現し、変わらないことによるコストを回避するためには、変革のスコープと規模に応じて、チェンジマネジメントのリソースを確保する必要があります。
5. 変革に抵抗する文化と心構え
変革に失敗した歴史、サイロの存在、抵抗的な行動は、組織内のパフォーマンス、信頼、エンゲージメントを低下させます。良くない態度や社内政治が蔓延する文化は、個人優先、破壊的思考、変革への抵抗を助長します。社員のマインドセットの変化は、組織の全体的な文化と環境を変化させるための土台となります。
複雑な性質や変革に失敗した歴史によって、組織の文化が変革やチェンジマネジメントに対する抵抗を助長することがあります。社内政治、不十分な行動制御、そして個人的な利益の追求も、変革に抵抗する文化を形成する一助となる可能性があります。
チェンジマネジメントが成功するかどうかは、個人の移行を効果的に管理することに加え、変革が行われる環境に左右されます。また、チェンジマネジメントの体系的なアプローチの一環として、 抵抗を管理することも極めて重要です。
組織変革を成功させる
変革中にプラクティショナーが直面する最も一般的な障壁を理解することで、変革の成功への道を歩み始める際の障害を予測し、回避することができます。「チェンジマネジメントにおけるベストプラクティス 第12版 エグゼクティブサマリー」をご覧になれば、変革の成功の最大の要因など、さらに多くのリサーチインサイトが得られます。
【無料】組織のチェンジマネジメントを展開すべき7つの理由
個別の変革をチェンジマネジメントで管理するレベルから一歩進んで、組織全体にチェンジマネジメントを取り込むことで、組織の変革力とコンビテンシーを構築しようとする組織が増えています。このアプローチの目的は、組織内で縦横無尽にチェンジマネジメントを展開することにあります。これをProsciでは、組織のチェンジマネジメントまたはECMと呼んでいます。
1994年に設立されたProsciは、チェンジマネジメントのグローバルリーダーです。Prosciは、簡単に使用できるツール、方法論、およびサービスといった、調査研究に基づく包括的なチェンジマネジメントソリューションの提供を通じて、世界中の組織が変革の成果を達成し、変革能力を高めることを支援しています。