あなたの変革プロジェクトにチェンジエージェントネットワークは必要か?Does Your Project Need a Change Agent Network?

by Andrew Horlick

変革を進める中で、関係者やグループを巻き込むことに苦労していませんか?そうであれば、チェンジエージェントネットワークの構築をお勧めします。

チェンジエージェントネットワークは、変革の影響下にある人々をチェンジマネジメントのプロセスに効果的に関与させて、変革プロジェクトの成功率を高める手段です。では、チェンジエージェントネットワークとは具体的に何でしょうか?あなたの変革プロジェクトにも必要でしょうか?ここでは、チェンジエージェントネットワークがどのように変革の影響下にある人々を導き、必要なものを与え、支援し、そして変革を成功させるかについて紹介します。

チェンジエージェントネットワークとは何か?


チェンジエージェントネットワークとは、変革を先導するチェンジリーダーたち(プライマリースポンサー、スポンサー連携メンバー、管理職マネージャー)の活動を後押しし、その影響を広げる役割を担うものです。個人の場合もあれば、グループである場合もあります。チェンジエージェントネットワークのメンバーは、チェンジチャンピオン、チェンジアンバサダー、チェンジアドボケートなど様々な名称で呼ばれることがあります。

なぜチェンジエージェントネットワークを活用するのか?


Prosci®の最新調査によれば、公式のチェンジエージェントネットワークを設置した組織は、高い確率で変革が成功したことがわかります。チェンジエージェントネットワークを導入した組織では、変革プロジェクトの目標を50%以上の確率で達成または超えることが報告されました。一方、導入していなかった組織では、この割合は41%にとどまりました。

なぜ変革プロジェクトにチェンジエージェントネットワークが必要なのでしょうか。以下に、チェンジエージェントネットワークを導入した際のベネフィットを示します。

  • 変革プロジェクトへのサポートを提供し、変革を促進する
  • リソースをより効果的に活用し、地理的に離れた組織内の別地域にも変革を拡大する
  • 組織全体に情報を伝達し、コミュニケーションを促進する
  • 組織のあらゆるレベルで変革の目的を周知する
  • 個人のチェンジマネジメント能力を向上させる
  • 社員同士の関係を通じて、変革に対する信頼を築く
  • 影響を受けるグループを積極的に関与させ、変革の権限移譲を推進する

チェンジマネジメントにおけるチェンジエージェントの役割と責任


チェンジエージェントの主な役割は、チェンジリーダーやチェンジプラクティショナーたちを支援し、変革の受入れや活用、展開を確実なものにし、組織に望ましい結果をもたらすことです。

私たちの調査によれば、チェンジエージェントの最も重要な責任は、変革に関する情報を人々に伝えることです。次に、トレーニングを実施し、導入をサポートし、模範となって変革をリードし、チェンジマネジメント活動を支援することです。

チェンジエージェントに求められるのは、影響力があり、同僚から信頼され、コミュニケーション能力が高く、組織に関する知識が豊富で、専門的なスキルを持つ人です。

チェンジエージェントの役割の「I-by」ステートメントを作成する


チェンジエージェントの役割を定義する際には、「私は~として、~することによって」というI-byステートメント形式を使います。

例えば、プロジェクトチームと組織の間で変革に関する双方向のコミュニケーションを可能にするチェンジエージェントネットワークを構築する場合、その役割は次のようなI-byステートメントになります。

「チェンジエージェントのメンバーとして私は、エンドユーザの声をプロジェクトチームに届け、変革に関する重要なメッセージを社員に伝えることで、受け入れと活用に貢献します」

チェンジエージェントネットワークの構築方法


Prosci 3フェーズプロセスは、フェーズ1「アプローチの準備」から始まります。その目的は、スポンサーがコミットメントを示し、カスタマイズされたチェンジマネジメント戦略を策定することで、変革を成功に導くことです。このフェーズでは、成功に必要な役割を明確にし、役割分担表を用いてその役割を文書化します。

この役割分担表を書き出す際にチェンジエージェントネットワークが必要かどうかを判断します。前述のチェンジエージェントネットワークを設置した場合のベネフィットのリストを見て、あなたの変革プロジェクトと照らして判断します。例えば、もし過去に変革の管理に失敗した例があり、影響下にあるグループが変革の設計やプロセスに関与しなかったが理由ならば、チェンジエージェントネットワークを設置することによって、彼らの関与を促し、彼らへの権限移譲がスムーズになります。

チェンジエージェントネットワークの設置手順は次の通りです。

1. プライマリースポンサーからのサポートを獲得する


チェンジエージェントネットワークの設置の意義をプライマリースポンサーに説明し、彼らの支持を得ます。設置のベネフィットやチェンジエージェントの役割、必要な人数や選出プロセスなどを明確に提示し、説得力を持って訴えます。

2. チェンジエージェントを選出する


チェンジリーダーと協力して、影響下にあるグループから代表となるチェンジエージェントを選出しましょう。彼らはチェンジエージェントの役割を進んで果たす者であり、信用があり、影響力を持ち、支援すべき影響下にある人々から信頼されている必要があります。また、彼らが代表する影響下にあるグループの役割をよく理解している必要があります。

3. 変革に対するチェンジエージェントの認知と欲求を構築する


チェンジエージェントに求められるのは、変革の必要性のAwareness(認知)と変革に参加し支援するDesire(欲求)です。次の段階に進む前に、彼らのAwareness(認知)とDesire(欲求)にバリアポイント(障壁)がないことを確認しておく必要があります。

4. チェンジエージェントをサポートする


チェンジマネジメントのトレーニングやコーチングにより、彼らのKnowledge(知識)とAbility(能力)の構築を促進します。

5. 変革プロセスにチェンジエージェントを関与させる


プロジェクトマネジメントとチェンジマネジメントチームの活動を支援し、推進するために、チェンジエージェントを積極的に関与させます。定期的なミーティングを通じてコミュニケーションを促し、変革プロジェクトの目標と一致しているかを確認し、進捗状況のフィードバックを提供し、必要に応じて是正措置を検討します。これらの取り組みが変革の成功につながります。

6. チェンジエージェントと共に振り返りをする


変革が完了し、振り返りを実施する際には、チェンジエージェントからのフィードバックや提案を受け取りましょう。変革の進行管理だけでなく、チェンジエージェントネットワークの形式や運用方法についても意見を求めます。この情報は、将来のプロジェクトでチェンジエージェントネットワークを設置する際に役立ちます。

チェンジエージェントネットワークを活用して変革を成功に導く


チェンジマネジメント戦略や計画を実施する際、チェンジエージェントネットワークは非常に重要な役割を果たします。意欲、能力、影響力のあるふさわしい人材をチェンジエージェントネットワークに組み入れ、役割と責任を明確にします。これにより、あなたの変革プロジェクトが目標を達成、または超える可能性が高まり、組織にとってのベネフィットを実感できるでしょう。


著者:アンドリュー・ホーリック (Andrew Horlick)
アンドリューは、Prosciのグローバル・ラーニング・プロダクツ・ディヴェロップメントのシニア・プリンシパルで、30年以上、チェンジマネジメントプラクティショナー、講師、リーダーシップコーチとして、個人や組織の変革力を構築するために尽力してきました。彼の目標は、チェンジマネジメントプラクティショナーや変革リーダーたちが知識や能力を開発し、組織の変革を成功させるためのサポートを提供することです。