組織の変革力を示す11の要素11 Elements of Successful Organizational Change Capability

by Tim Creasey

この数十年で、チェンジマネジメントは単なる場当たり的なアプローチから、体系的で厳格なプロセスと成果物の確認を伴う洗練されたアプローチへと進化しています。現在、先進的な組織は、プロジェクトごとにチェンジマネジメントを行うのではなく、組織全体でチェンジマネジメント能力を構築し、真の組織の変革力を獲得しています。これをProsci®は、「組織のチェンジマネジメント(ECM)」と呼んでいます。

組織のチェンジマネジメントと組織の変革力


チェンジマネジメントに取り組もうとしている人々は、ECMから得られる価値や、チェンジマネジメント能力を備えた組織の特徴を理解しきれていないかもしれません。そこで、我々のチェンジマネジメント研修プログラムでは、「将来の姿を見る」というエクササイズを通して、参加者たちがより具体的で鮮明な展望を持つことをサポートしています。以下は、過去のフィードバックから11の要素をまとめたものであり、組織が変革力を構築するとはどういうことなのか、理解を深める手助けとなるでしょう。

自分の組織の変革力を思い描く


1. 我々は期待通りに変革を行い、さらに期待を超える


組織の変革では、常にプロジェクトのROI目標値を達成し、ステークホルダー、顧客、株主たちの期待に応えます。

2. 我々の組織は変革を遂行できる


多くの組織がますます変革の飽和状態に直面していますが、我々は、ECMを導入することで、変革を遂行する能力を高め、変革による混乱を回避できています。

3. 我々は変革に期待し参加する


各チームは変革を恐れず、期待を寄せ、前向きに参加しています。この変革のためのアジリティと変革に対する意欲が組織全体に浸透しています。

4. 我々は変革を業務の一部と心得ている


社員は、変革を牽引する自分の役割を心得ています。「変革を牽引する」ことは業務の一部だと理解しており、チェンジリーダーとしてのスキルを身もつけています。社員が役割を適切に果たせているかを評価する指標も整備されています。

5. 我々は変革に関する言語を共有している


組織の社員は皆、変革に関する言語を共有しています。この共通の言語は組織全体に浸透しています。

6. 我々は基準となるチェンジマネジメントの方法論を有している


組織は共通のチェンジマネジメントの方法論を適用し、展開しています。それには、安定的に適用するための一連のツールも含まれています。決められたアプローチを全てのプロジェクトで利用しています。

7. 我々はチェンジマネジメントに適切な予算を充当する


各プロジェクトに、チェンジマネジメントのリソースを割り当て、必要に応じて専用の予算を設けます。

8. 我々は全てのプロジェクトで最初からチェンジマネジメントを盛り込む


プロジェクトを定義する際、ユーザーへの影響を考慮し、プロジェクトの人的側面のリスクを評価します。また、プロジェクトの開始時からチェンジマネジメント活動を取り入れます。

Prosci チェンジインパクトの10の側面モデル

9. 我々はチェンジマネジメントとプロジェクトマネジメントと改善プロセスを統合する


我々はプロジェクトマネジメントの方法論に、チェンジマネジメント活動を組み込みます。また、継続的プロセス改善、戦略的計画、リーンシックスシグマなどの改善システムにもチェンジマネジメントを統合します。

10. 我々はチェンジマネジメントのための基盤を組織内で構築する


チェンジマネジメントの基盤は、個人レベルでは業務上の役割やキャリアパスの明確化などが含まれます。組織レベルでは、チェンジマネジメントオフィス、コミュニティ、センターオブエクセレンス、チェンジエージェントネットワークなどを構築します。

11. 我々はチェンジマネジメントの影響を測定する


初期段階から、受け入れと活用の度合いを測る指標を確立し、進行中も本稼働後も測定を行います。変革の人的側面がROIを実現しているかに焦点を当てます。

組織のチェンジマネジメントとアジリティ


変革の速度と量、そしてその複雑さが増す中、組織の変革力の構築は最も重要なコンピテンシーとなっています。しかし、変革力の構築とアジリティ獲得には構造的で意識的な取り組みが求められます。組織がよりアジャイルであるためには、変革力の将来の状態を明確に描くことが重要な一歩となります。

【無料】組織のチェンジマネジメントを展開すべき7つの理由

個別の変革をチェンジマネジメントで管理するレベルから一歩進んで、組織全体にチェンジマネジメントを取り込むことで、組織の変革力とコンビテンシーを構築しようとする組織が増えています。このアプローチの目的は、組織内で縦横無尽にチェンジマネジメントを展開することにあります。これをProsciでは、組織のチェンジマネジメントまたはECMと呼んでいます。

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著者:ティム・クリーシー (Tim Creasey)
ティム・クリーシーは、Prosciのチーフ・イノベーティブ・オフィサーで、世界的に認められたチェンジマネジメントのリーダーです。組織に成果をもたらす変革の人的側面の分野で土台となる最大の知識体系を築き上げました。